経済産業省「電子商取引実態調査」によると、日本国内のBtoC EC市場規模は継続的に拡大しており、企業のオンラインプレゼンスの整備は事業継続上ますます重要な投資領域となっています(meti.go.jp 2026年5月閲覧)。中小企業庁の各種調査でも、自社サイトを有する中小企業の比率は年々上昇傾向にあり、「ホームページを持つ」こと自体は当たり前の前提になりつつあります。
制作会社でディレクター・PMを10年やってきて、300案件以上のWebサイト制作・運用を見続けてきました。発注前の経営者・個人事業主から最も多く聞かれる質問が、 「自分で作るか・制作会社に頼むか」 です。CV+180%を出した改善案件のような業績変化を起こせるのは外注の上位帯ですが、すべての事業に外注が正解かというと、300案件の現場感覚ではまったくそうではありません。
「ホームページ 自分で作る」「ホームページ制作 自社 外注」と検索した方が知りたいのは、たぶん 「自分で作って事業として成立するか」「外注すると総額いくらかかるか」「自分の事業フェーズに合う選択はどれか」 の3点だと思います。300案件超の現場感覚で、できるだけフラットに整理します。
📚 このトピックの全体像は WordPressの始め方【2026年完全ガイド】ドメイン取得・サーバー契約からサイト公開まで全手順 でまとめています。
まず押さえる「3つの選択肢」と総額レンジ
「自分で作る」「外注する」の2択ではありません。実務的には3つの選択肢があり、それぞれ総額・期間・関与度がまったく違います。
選択肢A: 完全自作(ノーコード・WordPressテーマ活用)
サーバー契約・ドメイン取得・テーマ選定・コンテンツ作成・公開まで、すべて自分で動かすパターン。
| 項目 | 想定コスト | 想定期間 |
|---|---|---|
| ドメイン年額 | 1,500〜3,000円 | 即時 |
| レンタルサーバー年額 | 10,000〜15,000円 | 即時 |
| 有料テーマ(WordPress 等) | 15,000〜20,000円(買い切り) | 即時 |
| 学習時間(独学) | 40〜100時間 | 1〜3ヶ月 |
| 写真・素材費 | 0〜30,000円 | 数日〜2週間 |
| 総額初期投資 | 3〜7万円 | 1〜3ヶ月 |
完全自作は 初期コスト3〜7万円・期間1〜3ヶ月 に収まる代わりに、自分の学習時間40〜100時間が完全に外見コストに乗らないという特性を持ちます。本業の時間単価が高い経営者・個人事業主にとっては、 学習時間を金額換算するとペイしない ケースが普通に起こります。
選択肢B: 半外注(自分でWordPress基盤を作り、デザイン・コンテンツの一部を外注)
サーバー・ドメイン・WordPress導入は自分で行い、 デザインカスタマイズ・初期コンテンツライティング・ロゴ作成 の一部をフリーランス・クラウドソーシングで外注するパターン。
| 項目 | 想定コスト | 想定期間 |
|---|---|---|
| 自作部分(サーバー・テーマ等) | 3〜5万円 | 1〜2ヶ月 |
| デザインカスタマイズ(フリーランス) | 5〜15万円 | 2〜4週間 |
| ロゴ・素材作成 | 1〜5万円 | 1〜2週間 |
| 初期コンテンツライティング(5〜10ページ) | 5〜15万円 | 2〜4週間 |
| 総額初期投資 | 15〜40万円 | 2〜4ヶ月 |
300案件のうち1/3程度はこの半外注フェーズで動いていた印象。 「自分で持っておきたい部分」と「プロに任せたい部分」を切り分けられる事業者 に向いた構成です。
選択肢C: フル外注(制作会社へ一括発注)
要件定義・設計・デザイン・コーディング・コンテンツ作成・公開・運用まで制作会社に一括発注するパターン。
| 規模 | 総額レンジ | 期間 |
|---|---|---|
| 小規模(5〜10ページ・コーポレートサイト) | 30〜80万円 | 1.5〜3ヶ月 |
| 中規模(15〜30ページ・CMS導入・ブランディング込み) | 80〜250万円 | 3〜6ヶ月 |
| 大規模(30ページ以上・CV設計・運用込み) | 250〜800万円 | 6〜12ヶ月 |
出典: 制作会社でディレクター・PMとして見てきた300案件超の見積もり・実案件・他社相見積もりサンプルを基に整理(2026年5月時点の現場感覚値)
300案件のうち過半数はこのフル外注帯。 要件定義から運用まで一気通貫で任せたい事業者 向けで、初期投資は跳ね上がる代わりに本業時間を1〜2ヶ月単位で奪われる事態を回避できます。
「自作が向く」「外注が向く」を分ける5つの軸
選択肢A・B・Cを「どれが正解か」ではなく、 事業フェーズと経営者の時間単価で振り分ける のが300案件のディレクター視点での判断基準です。5軸で整理します。
軸1: 事業フェーズ(立ち上げ前 / 黒字化前 / 黒字化後)
| フェーズ | 推奨選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 立ち上げ前(売上ゼロ) | A 完全自作 | 初期投資を最小化・サイトを介して仮説検証を回す |
| 黒字化前(売上はあるが利益が薄い) | B 半外注 | 自社で資産を持ちつつ、デザイン・コンテンツの最小限を外注 |
| 黒字化後(利益が安定) | C フル外注 | 経営者の時間を本業に集中・サイトを成長エンジン化 |
立ち上げ前の事業者がいきなり80万円のフル外注に走ると、現金が痩せて本業の運転資金を圧迫するケースを300案件のうち何度も見てきました。一方、黒字化後の経営者が完全自作に40〜100時間を投下するのも、 時間単価で計算すると圧倒的に損 という構造です。
軸2: 経営者の時間単価
経営者の時間単価(1時間あたりの本業の限界利益)が 3,000円以下 なら自作の検討余地あり。 10,000円以上 なら自作で40〜100時間を投下するより、その時間を本業に投じて80万円稼いで外注に回したほうが事業全体は得です。
軸3: コンテンツ更新頻度
| 更新頻度 | 推奨選択肢 |
|---|---|
| 月1〜2回更新(コーポレートサイト系) | C フル外注(運用月額契約で対応) |
| 週1〜2回更新(ブログ・実績・お知らせ多め) | A 完全自作 or B 半外注(自社で更新できる構成必須) |
| 日次更新(メディア型) | A or B(運用工数の関係で自社制作・自社運用が現実的) |
300案件で最も多かった失敗が、 「外注したらサイトが完成したけれど、更新は自社でやらなければならず、結局更新が止まる」 パターン。更新頻度が高い事業者ほど、自社で更新できる構成(WordPress 等)を最初から組むのが必須です。
軸4: 求めるデザイン水準・ブランド要件
「とりあえずあればOK」のレベルなら、有料テーマで自作しても破綻しない仕上がりは出ます。一方、 競合他社と並んだ時にデザインで明確に差別化したい・ブランディング込みで投資したい のであれば、外注(B または C)でないと到達できないクオリティ帯があります。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX白書」では、企業のデジタル変革の取り組みにおいて、ユーザー体験設計・デザイン投資の重要性が繰り返し指摘されています(ipa.go.jp 2026年5月閲覧)。ホームページは単なる名刺ではなく、 顧客との接点設計の中核 という位置づけが各種調査で示されてきています。
軸5: アクセシビリティ・SEO・法対応の要件強度
W3C(World Wide Web Consortium)が策定したWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)に基づき、 日本国内では JIS X 8341-3 がアクセシビリティの基準として整理されています。WAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会)が国内向けの解説・実装ガイドを公開しています(waic.jp 2026年5月閲覧)。
公的機関・上場企業・医療機関・金融機関のサイトでは、 アクセシビリティ対応(WCAG・JIS X 8341-3) や 個人情報保護法・特定商取引法等の表示要件 の遵守が必須レベルになります。これらの要件が強い事業では、自作で対応しきるのは現実的でなく、外注(C)必須帯になります。
300案件で見た「自作で破綻したパターン」と「外注で破綻したパターン」
両方の選択肢で破綻するパターンが存在します。300案件のうち、改修・救済で関わった案件から、典型的な3つを共有します。
自作で破綻パターン: 「テーマだけ買って3年放置」
WordPress有料テーマを買って自分でセットアップしたものの、 デザインカスタマイズで挫折・コンテンツが5ページで止まる・SSL設定が古いまま という3年放置パターン。
救済時に見ると、サーバー設定が古い・PHPバージョンが古い・プラグインが脆弱性アラート出っぱなし——本業に集中したい経営者が、自作のメンテナンスを後回しにした典型です。
自作で破綻パターン: 「ノーコードツールで囲い込まれた」
特定のSaaS型ノーコードツールでサイトを構築したものの、 データのエクスポートが効かない・ドメイン移管が複雑・月額が上がっても抜けられない という囲い込み事案。
サービス選定時に データポータビリティ を確認していないと、後で移行コストが膨らんで自由を失います。
外注で破綻パターン: 「制作会社が更新できず手放し」
要件定義が甘いまま外注し、サイトは公開できたものの 更新の仕組みが自社では使えず、毎回制作会社に依頼が必要 で運用費がかさみ続けるケース。
300案件で改修救済に入った案件の3割はこのパターンでした。制作会社選定時に 「公開後の更新を自社の誰が・どのCMSで・どの頻度で行えるか」 を必ず明確にする必要があります。
300案件のディレクターが推奨する「現実的な落とし所」
ここまで5軸を整理した上で、 多くの中小企業・個人事業主に対して私が現場で勧めてきた落とし所 を共有します。
立ち上げ前〜売上1,000万円未満: A 完全自作(WordPress + 有料テーマ)
事業立ち上げ段階では、 3〜7万円の初期投資・1〜3ヶ月の構築期間で最初のサイトを公開 し、サイト経由の問い合わせ・受注の仮説検証を回すのが現実的。
ここで多く選ばれているのが SWELL(買い切り型有料テーマ)を含む WordPress 系。 SWELL は私自身も複数の自社サイトで運用しています。実務感覚での評価詳細は、 WordPressテーマSWELL評判の記事 に書きました。
売上1,000〜3,000万円: B 半外注(自社基盤 + デザイン・コンテンツの一部外注)
事業が立ち上がり、デザインで競合と差別化したいフェーズ。 WordPress基盤は自社で持ちつつ、デザインカスタマイズ・ロゴ・初期コンテンツ5〜10本をフリーランスに外注 する半外注が、300案件で最もコストパフォーマンスが高かった構成。
売上3,000万円以上: C フル外注(要件定義から運用まで制作会社)
経営者の時間単価が上がり、本業に集中したい段階。 要件定義・設計・デザイン・コーディング・運用 まで一気通貫で制作会社に任せる。
CV改善・LP制作・ブランディングを含むフェーズはここから。詳細は LP制作費用の記事 や Webサイト制作費の記事 にまとめました。
「自作で始めて、後から外注に切り替える」が現実的な順序
300案件で見てきて、結局のところもっとも多い成功パターンが 「立ち上げは自作、軌道に乗ってから外注」 という段階移行です。
自作期間で「自社の発信の型」が固まる
自分でサイトを作って運用すると、 どんなコンテンツが反応されるか・どんな問い合わせが入るか が肌感覚で見えてきます。この感覚が、後で外注に移る時の要件定義の精度を 桁違いに上げます。
外注に切り替える時の「移行コスト」を最小化する選び方
自作期間でWordPressを選んでおけば、後から制作会社に「既存のWordPressサイトをリニューアル」と依頼でき、データもドメインも丸ごと引き継げます。 ノーコードSaaSで始めると、外注時にゼロから作り直しになるリスク が残るので、私は「自作で始めるならWordPress」を強く勧めてきました。
移行タイミングの目安
300案件のサンプルから、自作→外注への移行が成功しやすいタイミングは:
- 月次のサイト経由問い合わせが 5件以上で安定
- 売上の1ヶ月分が制作費の見積もりレンジ(30〜80万円)と重なる
- 経営者の時間がサイト更新で月10時間以上を超え始める
このいずれかが当てはまったら、外注切り替えの検討に入る合図、というのが私の判断軸です。
まとめ:本記事が拠った情報源
本記事は、私(Sato Daisuke)が制作会社のディレクター・PMとして10年・300案件超を見てきた現場感覚と、以下の公的情報を突き合わせた整理です:
- 経済産業省「電子商取引実態調査」(meti.go.jp 2026年5月閲覧)
- 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)「DX白書」
- W3C(World Wide Web Consortium)の WCAG 関連仕様
- WAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会)の JIS X 8341-3 解説
- 中小企業庁 各種調査(中小企業の自社サイト保有率関連)
これと、300案件超の見積もり・実案件・他社相見積もりサンプルを突き合わせた上で書いています。
自作で始めたい人・外注に切り替えたい人へ
立ち上げフェーズで自作するなら、 WordPress + 有料テーマ がもっとも移行コストの低い構成。私自身も複数の自社サイトで運用している SWELL は、その中でも最も推奨しやすい選択肢です。
- WordPressテーマ SWELL(買い切り・複数サイトで使い回し可)→ SWELL評判記事に詳細 → [ASP承認済リンク(もしもアフィ)]
- レンタルサーバー(WordPress運用の土台)→ レンタルサーバー比較ランキング
- Webディレクション・PMスクール(外注先選定・要件定義スキルを身につけたい場合)→
300案件見てきた身として一番伝えたいのは、 「自作 vs 外注」は二項対立ではなく、事業フェーズに応じて段階移行する ということ。最初の一歩を3〜7万円・1〜3ヶ月で踏み出せるのが、現代のホームページ制作の最大の強みです。
【ご注意】
本記事は、私(Sato Daisuke)の制作会社ディレクター・PM経験10年・300案件超の現場感覚と、経済産業省・IPA・W3C・WAIC・中小企業庁の公開情報を突き合わせた整理です。
本記事中の費用レンジ・期間は2026年5月時点の現場感覚値であり、案件規模・要件・依頼先で大きく変動します。個別の発注判断は、複数社の相見積もり・要件定義書のすり合わせを経たうえで行ってください。
Webアクセシビリティ・個人情報保護・特定商取引法等の法対応が必要な業種では、必ず該当領域の有資格者・法務担当・専門制作会社にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. Web制作・コーポレートサイトの相場はいくらですか?
A. 中小企業向けの一般的なコーポレートサイトで30〜150万円のレンジが現実線です。ページ数・撮影・コンテンツ制作の有無で大きく動きます。中小企業庁「IT導入補助金」の対象範囲も参考になります(補助金活用で実質負担を圧縮可能)。
Q2. LP(ランディングページ)の制作費用相場は?
A. デザイン+実装で15〜40万円が中央値、CV+180%改善案件のような戦略立案+A/Bテストまで含めれば60〜120万円のレンジまで上がります。発注時は「ワイヤーフレームのみ/デザインのみ/実装込み」の3段階で見積もりを取るのが現実的です。
Q3. WordPress構築は自前と外注どちらがいい?
A. サイト規模と更新頻度で決まります。月1回未満の更新なら外注、週1回以上の運用更新があるなら社内学習投資のほうが長期で安価です。300案件のディレクター経験では、運用フェーズの工数を見落とすケースが圧倒的に多い印象です。
Q4. Webディレクターの仕事内容は?
A. 要件定義・進行管理・品質管理が三本柱で、加えてクライアント折衝・チーム調整が日常です。経産省 DX推進ガイドラインでも「プロジェクト推進」が必須役割と明記されており、現役PMの1日業務もここに収束します。
Q5. 制作会社とフリーランス、どちらに発注すべき?
A. 案件規模で判断します。10〜30万円のLPはフリーランス、50万円以上のコーポレートサイトはチーム体制を持つ制作会社が現実線。IPA「DX白書」も「外部リソースは規模と専門性で選別」と提示しています。
よくある質問
Q: WordPressは初心者でも使えますか?
A: はい。WordPress.orgのCMS(コンテンツ管理システム)は世界シェア43%(W3Techs調査)で、初心者向けの豊富なドキュメントとプラグインが揃っています。レンタルサーバーの自動インストール機能を使えば最短10分で設置可能です。
Q: Web制作の副業で月いくら稼げますか?
A: ランサーズ・クラウドワークスの相場では、LP(ランディングページ)制作で3〜10万円、コーポレートサイトで10〜50万円が目安です。スキルレベルと営業力次第で、副業月5万〜20万円は現実的な範囲です。
Q: プログラミングスクールの費用対効果はどうですか?
A: 平均受講費用は50〜80万円ですが、給付金(最大56万円)を活用できる場合があります。厚生労働省の「教育訓練給付金」検索システムで対象講座を確認できます。転職保証の有無・就職後のサポート体制を重視して選びましょう。
Q: フリーランスのWeb制作者になるために必要なスキルは?
A: HTML/CSS・JavaScript の基礎、WordPress の実装・カスタマイズ、デザインツール(Figma等)の基本操作が最低限必要です。加えて提案力・コミュニケーション能力が案件獲得に直結します。
Q: レンタルサーバーの選び方で重要なポイントは?
A: WordPress推奨・表示速度・サポート体制・料金の4点が選定基準です。エックスサーバー・ConoHa WINGは国内シェアが高く、安定性と速度に定評があります。
WordPressは世界のWebサイトの43%以上(W3Techs調査)で使用されているCMSであり、Web制作の基礎スキルとして習得する価値があります。プラグインのエコシステムと豊富なテーマにより、コーディングの知識がなくてもプロフェッショナルなサイトを構築できます。

