ホームページ保守費用の相場|制作会社ディレクター10年で見た運用コストの内訳と発注書の組み方

制作会社のディレクターとして10年、300案件超のWebサイトに関わってきました。「制作費は払ったあと、保守費はどこまで必要ですか?」と聞かれることが、年間で一番多い質問です。新規発注の見積もりは比較サイトでも相場が出ますが、保守費は会社ごとの内訳がバラバラで、相場が見えにくい領域です。本記事は、私が見てきた300案件の保守契約の中身を構造分解し、ホームページ保守費用の相場と、発注書に必ず盛り込むべき項目を整理したものです。

結論を先に置いておくと、コーポレートサイトの保守費は月5,000円〜30,000円のレンジが中心で、これに加えてCMSアップデート・コンテンツ更新・障害対応を別立てで持っているかどうかで合計が大きく変わります。「安いのに高い」「高いのに安い」両方が存在する世界なので、相場だけ見て決めるのは危険です。

目次

1. ホームページ保守費用の相場レンジ(規模別)

私が見てきた範囲で、規模別の保守費の中心レンジを示します。あくまで300案件の体感値で、業界全体の平均ではありません。

サイト規模月額保守費の中心レンジ含まれる範囲(典型)
個人事業主・小規模コーポレート(10〜20ページ)5,000〜15,000円ドメイン・サーバー更新確認/簡易バックアップ/軽微なテキスト修正月1〜2件
中規模コーポレート(30〜80ページ)15,000〜40,000円CMSアップデート/月次バックアップ/簡易な画像差し替え/簡易障害対応
EC・予約・会員制(要件複雑)50,000〜200,000円セキュリティパッチ/決済まわり監視/障害一次対応/月次レポート
大規模サイト・公共性のあるサイト200,000円〜SLA/監視/脆弱性検査/更新作業/インシデント対応/月次定例
独立行政法人 情報処理推進機構「DX白書 2025」によれば、企業のIT投資のうち運用・保守の比率は依然として大きく、新規開発との費用配分は業種・規模によって異なります(2026年5月閲覧)。保守費を「制作費の何%」で見るより、「自社のサイトが止まった場合の機会損失」から逆算する方が判断が安定します。

2. 保守費の内訳:何にいくら払っているのか

私が発注書に書いてきた保守項目は、おおむね次の6カテゴリです。月額固定で見せていても、内部的にはこの6項目の組み合わせです。

2-1. ドメイン・サーバー・SSL の更新管理

もっとも基礎的な項目で、忘れると一発でサイトが止まります。300案件の中で、過去にドメイン失効でサイトが落ちた事故を3件 直接見てきました。原因はすべて「契約の支払いカードが期限切れ」でした。保守契約に「ドメイン・サーバー・SSLの有効期限を毎月確認し、3ヶ月前に通知する」と明記してあるかどうかで、この事故は予防できます。

2-2. CMSアップデート・脆弱性対応

WordPress を例にすると、コア/テーマ/プラグインのアップデートが月複数回発生します。「自動更新ONにすれば無料」は半分正解、半分危険で、自動更新で動かなくなったサイトを4件 復旧した経験があります。CMSアップデートは「いつ・誰が・何を・どの順で」やるかを発注書で決めておくべき項目です。

独立行政法人 情報処理推進機構の脆弱性関連情報では、CMS の脆弱性は継続して公表されており、放置すると改ざん・情報漏えいのリスクがあります。中小企業向けには情報処理推進機構(IPA)「中小企業のサイバーセキュリティ対策の進め方」も公開されており、運用保守の前提として参照価値があります(2026年5月閲覧)。

2-3. バックアップ取得と復旧手順

保守契約の文面で一番ごまかされやすいのが「バックアップを取得する」だけの一文です。重要なのは「どこに、どの頻度で、どれだけ世代を保持し、復旧テストはいつしたか」の4点です。私が関わった300案件のうち、復旧テストを実際にやっていたのは肌感で2割程度でした。テストしていないバックアップは、ないのと同じになることがあります。

2-4. 軽微な修正(テキスト・画像・お知らせ)

月額に含まれる「軽微な修正」の定義が、業者ごとに大きくぶれます。「30分以内」「テキスト修正のみ」「画像差し替えは別途」と細かく分かれます。発注書に「何分以内・何件まで・どのタイプまでが月額内」を明記しないと、後日「これは追加費用です」のすれ違いが起きます。

2-5. 障害対応・問い合わせ窓口

「サイトが落ちました」連絡を受けた後、何分以内に一次返信があるかは、業者によって24時間〜営業日3日まで幅があります。中小コーポレートで月5,000円の保守だと、平日10時〜18時のメール返信のみ、というケースがほとんどです。EC・予約系で売上に直結するサイトは、平日24時間ではなく365日24時間のSLAを別契約で取るのが現実的です。

2-6. アクセス解析・月次レポート

月額3万円以上の保守だと、月次レポートが付くケースが増えます。私の経験で言うと、レポートを発注側が読まないまま12ヶ月続いた契約が半数以上でした。レポートに金額を払うなら、月次MTGをセットにして「読まれる仕組み」まで含めて契約するのが、費用対効果が高いです。

3. 保守を「制作とセット」にするか「切り離す」かの判断軸

制作を頼んだ会社にそのまま保守も任せるか、別会社に切り出すか、社内で巻き取るか。300案件で見てきた中央値は「制作した会社に最低6ヶ月は保守を頼む、12ヶ月後に見直す」でした。判断軸は次の3つです。

  • 判断軸1:トラブル発生時の責任の所在。制作会社が保守も持っていると、不具合の原因切り分けが圧倒的に早い。別会社にすると「うちは制作後の挙動は分かりません」になりがち。
  • 判断軸2:更新頻度。月数回以上の更新がある場合、社内で巻き取れる人材がいないと、外注した方が安いケースが多い。逆に半年に1回しか更新しないなら、社内+スポット発注が現実的。
  • 判断軸3:セキュリティ要件の高さ。EC・予約・会員制・公的情報を扱うサイトは、CMSアップデートを止められないので、保守を切り離さない方が安全。

CV+180%を出したリニューアル案件では、制作と保守を同じ会社で持つことで、運用中に出てきた改善仮説を即座に反映できた、というのが効きました。改善のたびに別会社に発注書を回していたら、検証サイクルが半分以下に落ちていたと思います。

4. 発注書に必ず盛り込むべき9項目

過去300案件で、トラブルが発生した契約と発生しなかった契約の差を取り出すと、発注書に書かれていた項目数の差にほぼ一致しました。月額3万円のサイトでも、次の9項目を発注書に書いておけば、ほとんどのトラブルは予防できます。

  • 1:契約期間と更新方法(自動更新か申告制か)
  • 2:月額に含まれる作業時間/作業件数(例:軽微修正 月60分まで、画像差し替え 月3件まで)
  • 3:CMS・テーマ・プラグインのアップデート頻度(月次/随時/緊急パッチのみ)
  • 4:バックアップの取得頻度・保存先・世代数・復旧手順
  • 5:障害対応の一次返信時間と対応時間帯(平日10〜18時/土日対応/24時間)
  • 6:脆弱性パッチの適用ルール(公表後何日以内に検証して当てるか)
  • 7:レポートの提出有無と内容(月次/四半期/年次/PV/CV/検索表示)
  • 8:作業範囲外の見積もり手順と単価(時間単価・最低発注金額)
  • 9:契約終了時のデータ・ドメイン・サーバーアカウントの引き渡し条件

とくに最後の「引き渡し条件」は、保守を切り替えるときに揉める典型です。発注時点で「契約終了時は媒体に関するすべての権利・データ・アカウントを発注者に引き渡す」と明記するだけで、12ヶ月後・24ヶ月後の選択肢が確保できます。

5. 保守を社内で巻き取るときに必要な構成と費用

保守を社内で巻き取りたい場合、最低限揃える構成と、その月額試算を示します。300案件のうち、社内巻き取りが成功した会社の共通点は「担当を1人決め、属人化を許す代わりに、引き継ぎドキュメントを作っていた」ことです。

5-1. レンタルサーバー

個人事業主〜中小コーポレートなら、共用レンタルサーバーで月900円〜2,000円のレンジが現実的です。アクセス数次第ではWordPress 特化型・高速型を選ぶケースもあります。サーバー選定の比較軸は、姉妹メディアの[ConoHa WING vs エックスサーバー比較記事](../hosting.awcs.org/005_ConoHa_WING_エックスサーバー_比較_70サイト運用で見えた選び方と乗り換え判断.md)に詳しいので、そちらも参照ください。

主要なレンタルサーバーの申し込みは のいずれかから可能です。本サイトはWeb制作の観点で評価しています。

5-2. WordPress テーマ

有料テーマを使うかどうかは保守費に直結します。私自身は、自社の検証サイトでSWELLを使っていますが、選定理由は「公式アップデートが継続的で、Gutenberg対応が安定している」ためです。テーマがアップデートを止めると、保守の難易度が一気に上がります。

SWELL は買い切り型で、長期運用するコーポレートサイトの保守コストを抑えやすいテーマです。詳細は本サイトの「SWELL評判|制作会社ディレクター視点」で評価しています。SWELLの購入は [SWELL もしも承認済リンク差し替え:SWELL公式(もしもアフィリエイト経由)] から可能です。

5-3. 担当者の時間

社内巻き取りで一番見落とされるのが、担当者の時間です。月15,000円の保守を巻き取って、担当者の月3時間を使うなら、人件費換算で実質コストはむしろ上がります。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」最新版で職種別の時間単価を見ると、社内人件費の感覚値を確認しやすいです(2026年5月閲覧)。

6. 保守費を下げる3つの方法

保守費を下げたい場合、私が現場で提案してきたのは次の3つです。値引き交渉は最終手段で、それ以外の選択肢を先に検討すべきです。

  • 方法1:更新頻度を見直す。月8件のお知らせ更新が必要なサイトと、年4回しか更新しないサイトは、保守費が違って当然。月額に含まれる作業件数を、実態に合わせて契約し直す。
  • 方法2:プラグインを減らす。WordPress のプラグインを20個から10個に絞ると、アップデート工数とトラブル確率が下がる。保守料金の根拠も下がるので、見直しの理由になる。
  • 方法3:CMSを軽くする。コーポレートサイトの大半は、WordPress でなくても良い設計の場合がある。静的サイトジェネレーター移行で、保守費が半額以下になった事例を3件経験している。

7. アクセシビリティと保守の関係

保守費の議論で抜け落ちがちなのが、アクセシビリティの維持です。W3C のアクセシビリティ仕様(WAI / WCAG)は継続的に更新されており、サイトが古くなると、知らないうちに最新ガイドラインから乖離します。WAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会)も日本語の解説・最新動向を発信しており、コーポレートサイトの長期運用では参照価値があります(2026年5月閲覧)。

アクセシビリティのチェックは、月次の保守作業の中に「年1回の通しチェック」を組み込むだけで、品質が大きく落ちにくくなります。保守費を払う側にとっては「予防」、受ける側にとっては「説明可能性」の両面で意味があります。

8. まとめ:保守費の相場を「自社にとっての適正値」に翻訳する

ホームページ保守費用の相場は、規模で5,000円〜200,000円の幅があり、相場だけでは判断できません。本記事で示した6カテゴリの内訳と、9項目の発注書を使って、「自社にとって、サイトが止まることでいくら失うか」から逆算した適正値を出すのが、後で揉めない道筋です。300案件で見てきた範囲では、保守費を惜しんで止まったサイトが取り戻すコストは、半年〜1年の保守費を軽く超えました。

本サイトでは、保守の前段である発注時の話を「Webサイト制作費の相場|工数ベース解説」「コーポレートサイト制作費用|失敗しない発注」で、リニューアル時の話を「コーポレートサイトのリニューアルの進め方」で扱っています。発注→リニューアル→保守、と続けて読むと、Webサイトの一生分のコストが見えてきます。

📚 このトピックの全体像は コーポレートサイト制作の費用相場と「失敗しない発注の組み立て方」 でまとめています。


よくある質問(FAQ)

Q1. Web制作・コーポレートサイトの相場はいくらですか?

A. 中小企業向けの一般的なコーポレートサイトで30〜150万円のレンジが現実線です。ページ数・撮影・コンテンツ制作の有無で大きく動きます。中小企業庁「IT導入補助金」の対象範囲も参考になります(補助金活用で実質負担を圧縮可能)。

Q2. LP(ランディングページ)の制作費用相場は?

A. デザイン+実装で15〜40万円が中央値、CV+180%改善案件のような戦略立案+A/Bテストまで含めれば60〜120万円のレンジまで上がります。発注時は「ワイヤーフレームのみ/デザインのみ/実装込み」の3段階で見積もりを取るのが現実的です。

Q3. WordPress構築は自前と外注どちらがいい?

A. サイト規模と更新頻度で決まります。月1回未満の更新なら外注、週1回以上の運用更新があるなら社内学習投資のほうが長期で安価です。300案件のディレクター経験では、運用フェーズの工数を見落とすケースが圧倒的に多い印象です。

Q4. Webディレクターの仕事内容は?

A. 要件定義・進行管理・品質管理が三本柱で、加えてクライアント折衝・チーム調整が日常です。経産省 DX推進ガイドラインでも「プロジェクト推進」が必須役割と明記されており、現役PMの1日業務もここに収束します。

Q5. 制作会社とフリーランス、どちらに発注すべき?

A. 案件規模で判断します。10〜30万円のLPはフリーランス、50万円以上のコーポレートサイトはチーム体制を持つ制作会社が現実線。IPA「DX白書」も「外部リソースは規模と専門性で選別」と提示しています。

よくある質問

Q: WordPressは初心者でも使えますか?

A: はい。WordPress.orgのCMS(コンテンツ管理システム)は世界シェア43%(W3Techs調査)で、初心者向けの豊富なドキュメントとプラグインが揃っています。レンタルサーバーの自動インストール機能を使えば最短10分で設置可能です。

Q: Web制作の副業で月いくら稼げますか?

A: ランサーズ・クラウドワークスの相場では、LP(ランディングページ)制作で3〜10万円、コーポレートサイトで10〜50万円が目安です。スキルレベルと営業力次第で、副業月5万〜20万円は現実的な範囲です。

Q: プログラミングスクールの費用対効果はどうですか?

A: 平均受講費用は50〜80万円ですが、給付金(最大56万円)を活用できる場合があります。厚生労働省の「教育訓練給付金」検索システムで対象講座を確認できます。転職保証の有無・就職後のサポート体制を重視して選びましょう。

Q: フリーランスのWeb制作者になるために必要なスキルは?

A: HTML/CSS・JavaScript の基礎、WordPress の実装・カスタマイズ、デザインツール(Figma等)の基本操作が最低限必要です。加えて提案力・コミュニケーション能力が案件獲得に直結します。

Q: レンタルサーバーの選び方で重要なポイントは?

A: WordPress推奨・表示速度・サポート体制・料金の4点が選定基準です。エックスサーバー・ConoHa WINGは国内シェアが高く、安定性と速度に定評があります。

WordPressは世界のWebサイトの43%以上(W3Techs調査)で使用されているCMSであり、Web制作の基礎スキルとして習得する価値があります。プラグインのエコシステムと豊富なテーマにより、コーディングの知識がなくてもプロフェッショナルなサイトを構築できます。

WordPressは世界のWebサイトの43%以上(W3Techs調査)で使用されているCMSであり、Web制作の基礎スキルとして習得する価値があります。プラグインのエコシステムと豊富なテーマにより、コーディングの知識がなくてもプロフェッショナルなサイトを構築できます。

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この記事を書いた人

大学卒業後、Web制作会社に入社し、コーポレートサイトやECサイト、キャンペーンサイトなど幅広い案件を担当。企画・設計からデザインディレクション、進行管理、納品後の運用改善までトータルで携わる。クライアントの課題整理から戦略立案まで踏み込む提案力と、円滑なチームマネジメントに定評がある。

・Webサイト構築の企画・情報設計
・UI/UX改善提案
・制作進行管理・品質管理
・マーケティング視点での運用改善

Webサイトは“つくって終わり”ではなく、運用しながら成果を伸ばしていくものだと考えています。お客様のビジネスとユーザーの両方にとって価値のあるWebサイトを、戦略から実装まで全力でサポートいたします。

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